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2005年 11月 12日
● チャングムことイ・ヨンエが復讐の天使に変貌する、パク・チャヌク監督『復讐三部作』の掉尾を飾る一本。
● おもしろいか、人に薦められるかと問われると難しい一本だが、駄作ではまったくない。含意や伏線がとても多い映画なので、油断して台詞を聞き逃したりぼーっとしているとおもしろさが半減すると思う。タイトルの「親切」も本当の意味を知ればなるほどと思いつつ、ぞっとすると思う。英語タイトルにある「女性の復讐」も意味深だ。 ● 張徹作品にあるような男性的なダイナミズムある破壊と復讐ではなく、様式美すら感じさせ、周到に、それこそ十三年かけて標的に近づくクムジャ。親子愛は背中を後押しすることはあっても、足かせには決してならないところに強靱さを感じる。手間暇かけて創り上げるケーキのように丁寧で綿密な計画。 ● そしてこの作品では復讐がそこで終わらずに、贖罪でもあるところが深い。自分が娘を救ったために奪われた子供と、その家族がいる。そこまで考えた彼女の深く周到な罠こそがポイント。 ● そして彼女の「親切」な復讐に遺族が見せる顔がおもしろい。この映画で一番おもしろかったのはここであるともいえた。ここ最近私がイラついていたことに対するひとつの回答があったと思う。いま二十一世紀になってまでも、人が復讐を題材にした物語をこよなく愛するのは、やはり残忍な処罰が悪には必要だと思っているからではないか? 「こいつを殺してもあの子は戻らない!」 といいながらああいう行動に奔るシーンは象徴的だった。 ● クムジャの心の支えともいえる愛娘。しかし彼女とは言葉を交わすことができないのが哀しい。しかも、母娘の心が最もわかりあえるシーンの仲立ちの存在がこれまた皮肉。クムジャ自身もまた母娘で仲良く暮らせるなどと思っても、望んでもいなかったのだろう。 ● この映画にはカタルシスはほとんどない。暴力的でもあるし、残虐でもある。だけど、その裏には深い含みがあると思う。見終えてからじわじわくる映画。こういう映画にはテーマ性があっていい。テーマ性があるうえに映画として長ったらしくなく、おもしろいのはさらにいい。 ● イ・ヨンエあっての映画だけに、彼女の清楚さを失わずにしかも残酷で鬼気迫る演技は出色の出来だ。ここ最近見た映画の中では、彼女が図抜けて演技力があった。チャングムの可憐さを求めて見る観客には厳しいかもしれないが、実力も魅力もあるということはよくわかった。韓国映画には今、破竹の勢いがあることがよくわかる一本だ。 by kizurizm | 2005-11-12 22:40
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